こちらはアール・ヌーヴォーのガラス工芸を牽引したオーギュスト・ドーム、アントナン・ドームの兄弟により、1900年初頭に制作されたスミレ文を施した純銀脚付の飾壺、花瓶です。ドーム兄弟の用いた技法や表現が余すこと無く用いられており、初期のドーム作品を代表する大変素晴らしい作品です。こちらの作品では橙色を基調としたガラスが用いられ、素地にはジヴレ加工を施し、アシッド(酸化腐蝕彫)により立体的にカメオ彫りされた花の文様を金で彩色することにより、花々が生き生きと描かれています。光の当たり方によって様々な発色を放つ器の様子も大変印象的です。見ているだけで心が落ち着くような穏やかな雰囲気に溢れています。側面には陽刻の金彩で 「A tout seigneur tout honneur」 と記されております。これはフランス語で「名誉あるべきところには名誉を。」を指し「誰でも、その地位、尊厳、功績、行為などに応じて、当然の誉れを受けるべきです。」という意味のことわざのようです。ドームやガレが制作した当時の作品で、このように格言やことわざ、文学作品等から引用した一文が記されているものは「物言う硝子」とも呼ばれ、アール・ヌーヴォー期の硝子作品においてもとりわけ貴重で珍重される作品です。当時に制作された作品特有の形態や装飾、硝子の色見も大変素晴らしく、見る度に心奪われる魅力的な逸品です。底面には、ドーム・ナンシーのサインが御座います。大変古い作品となりますので経年相応の擦れや製造時の気泡等は見受けられますが、その他美観を損ねるような大きな傷や欠け等はなく、年代を考慮しましても大変綺麗な状態と思われます。ドームの言葉が記された作品は市場に出回る機会が少なく、当作品の良好な保存状態も加味しますと、同じような作品を同コンディションで手に入れられる機会はかなり稀かと思われます。こちらは1点限りのため、売り切れ次第終了となります。お探しの方はこの貴重な機会をお見逃し御座いませんよう、アール・ヌーヴォー期を牽引したドーム兄弟の素晴らしい作品を是非お手元でご堪能頂ければ幸いです。詳細情報サイズ高さ:約8.1cm幅:約6.8cm年代1900~1914年頃技法被せガラス・酸化腐蝕彫・ジブレ・金彩